「イントラって年金とか老後、危なくない?」
この2年間、僕が一番された質問の1つです。
僕の人生を心配していただき、ありがとうございます。
ちなみに、もうひとつは
「ダイビングって危なくない?」
インストラクターの皆さん、この質問が来たら、ほら来た!
しめしめとお決まりトークを繰り広げていませんか?
「適切な知識とスキルを身に着けて・・・うんたらかんたら」
そうなんです!
適切な知識さえ身に付けてしまえば、ショップのオーナーや個人事業主の方ならば簡単に年金を作ることができ、貯蓄することが出来ます。
むしろ自分で掛け金を調節できることを考慮すると会社員よりメリットも多いのではないでしょうか?
→つまり自分にあった貯蓄の仕組みを作れる。さらに節税もできて、状況に合わせて臨機応変に変更可能。そんな強い味方が小規模企業共済です。
小規模企業共済とは
小規模企業共済は、「経営者にも退職金を!」というコンセプトで、中小機構という独立行政法人(つまり国の企業)が提供している共済制度のことです。
対象は小規模な法人の役員や個人事業主で、退職したり事業を廃止した場合などに解約し、それまでの積み立ての掛金に応じた共済金を受け取ることができます。
→つまり個人事業主でも無理なく自分のペースに合わせて年金や退職金を作っていきましょう
といった制度です。
加入資格
加入資格は以下のとおりです。恐らく、ほとんどのダイビングショップが以下
2.常時雇用する従業員以下が5人以下の個人事業主または会社役員
に当てはまるのではないでしょうか?
それ以上の会社では会社独自の企業年金や法人保険、様々な福利厚生を作っていけるでしょうが・・・
その辺は専門家にお任せしましょう。
小規模企業共済制度の加入要件
1.建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
2.商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員
3.事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
4.常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
5.常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
6.上記1、2に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)
(独立行政法人中小企業基盤整備機構HPより引用)
メリット
①掛け金は全額所得控除
小規模企業共済の掛け金は全額所得控除にすることができます。
つまり掛金分は税金が掛からずに積立金として貯金が出来るわけです。
例えば、
月収20万の人では約15%(所得税5%、住民税10%)の税金がかかってきます。
毎月1万円掛け金を積み立てるだけで年間18000円の節税ができます。
小さいようですが、給与や掛金を増やせれば・・・
節税効果はさらに大きく!
②最大掛金が120%に増える
将来共済金を受け取る際に、掛金納付期間に応じ最大120%相当額が受け取れる。
これを年間の運用利回りで考えると1%以上です。
現状の銀行の預金金利が0.002%の中で元本保証で1%の運用メリットを取れ、なおかつ節税効果もある。
運用面で考えても大きな魅力があります。
③積立金を借り入れることが出来る
契約者貸付制度という、積立金を迅速に借り入れることのできる制度があります。
この制度を活用すれば、資金不足やいざという時に審査不要ですぐにお金を借りることができます。
借入限度額は掛金の9割程度、利率も最高1.5%と低く設定されています。
掛金の全額が最低でも15%の節税メリットが得られる以上、無理に掛け金を高くして契約者貸付を用い利息を払ってもトータルで得を出来るでしょう。
④自分のペースに合わせて掛金調整ができる
掛け金を月1,000円~70,000円の間で自由に設定することが可能です。
掛金の変更も容易で無理のない範囲で積み立てることができます。
つまり自分のライフプランに沿った積立額を設定できるのです。
デメリット
掛金の元本割れリスク
小規模企業共済は経営者の退職金を作るために作られた制度であるので短期で解約すると元本割れします。
例えば、掛金納付月数が240ヵ月(20年)未満の場合は経営者都合で解約すると元本割れします。
また事由がどうであれ1年目は共済金は受け取れません。
次章の共済金の受け取り方に詳しい表は載せてありますので解約する可能性がある人は確認してみてください。
共済金の受け取り方
きちんと活用すれば掛金の120%給付
共済金の受け取り方には一括で退職金としてもらう方法や、年金のように分割してもらう方法、更にはその併用ができます。
つまり自分のライフプランにあった共済金の受け取り方ができます。
では共済金のもらえる金額ですが、掛け金の積み立てた期間や解約のしかたによって変動していきます。
大まかには、以下の表を見てみましょう。
期間 | 掛金残高 | 共済金A | 共済金B | 準共済 | 任意解約 |
5年 | 600,000円 | 621,400円 | 614,600円 | 600,000円 | 480,000円 |
10年 | 1,200,000円 | 129,0600円 | 1,260,800円 | 1,200,000円 | 1,020,000円 |
15年 | 1,800,000円 | 2,011,000円 | 1,940,400円 | 1,800,000円 | 1,665,000円 |
20年 | 2,400,000円 | 2,786,400円 | 2,658,800円 | 2,419,500円 | 2,400,000円 |
30年 | 3,600,000円 | 4,348,000円 | 4,211,800円 | 3,832,740円 | 3,753,000円 |
このように共済金Aでは30年払い込みを続けると掛け金の120%以上が戻ってきます。
年利にすると1%以上。元本保証で1%以上の金利なんてこれ以上良い投資はないでしょう。
ただし、注意が必要なのが任意解約は20年以内は元本割れするということです・・・
掛け金の減額や契約者貸付制度を使えば解約することはないとは思いますが念のため考慮すべきでしょう。
では、この解約の仕方とはなにか?
といったことを見ていきましょう。
共済金A
まずは1番掛け金が返ってくるものです。
これは個人事業の廃業や会社の倒産の時に支払われるものです。
余談ですが、自己破産申請をしたとしても小規模企業共済の掛け金は保護されます。
つまり、いざって時に役に立ちます。
以下が正式な事由例です。
・個人事業を廃業した場合
・配偶者・子以外に個人事業の全部を譲渡
・法人が解散した場合
・共済契約者の方が亡くなられた場合
共済金B
1番可能性の高いものかもしれません。
65歳まで事業を続けた場合にいつでももらえる制度になります。
運用も116%と好成績です。
出来れば共済事由Bを狙うのが良いでしょう。
以下が正式な事由例です。
・老齢給付(65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ方)
・ 病気や怪我のため役員を退任した準共済金
準共済
準共済は自己都合による役員の退任や個人事業を譲ったりすることです。
この事由では元本は保証されていますが、運用メリットはありません。
節税メリットしか受けることが出来ないのです。
節税だけでも十分すぎるメリットがありますが・・・
・法人の解散、病気や怪我以外の理由で役員を退任した
・配偶者・子に個人事業の全部を譲渡した場合
・個人事業を法人成りして、その法人の役員にならなかった場合
任意解約
任意解約は主に自己都合による解約や掛金を無断で滞納することによって発生します。
任意解約では20年以下の払込期間では元本割れしますので要注意ですね。
・自己都合による解約
・機構解約(掛金を12ヶ月以上滞納した場合)
まとめ
ダイビングインストラクター(個人事業主や、中小企業経営者)は福利厚生や年金について大企業にも劣っていて乏しいイメージがあります。
自分自身も昔はそう思ってました。
しかし、今回紹介した小規模企業共済や、他にも中退共、法人保険など正しい知識をもって自分の資産を管理していけば大企業にも劣らないメリットを作ることが出来るんです。
「若いうちから節約をして、いつくるかわからない将来のために貯蓄をする」
なんて考え方ではなく
給与→税金→消費→貯蓄
という流れから
給与→貯蓄→税金→消費
というお金の流れに変えることで賢く老後の蓄えをして、いつまでも業界に残れるようになれたら素敵だなと思います。