個人事業主だって人を雇ったら大変!【年末調整】

年末調整はサラリーマンだけのものじゃなかった

師走になって慌ただしく過ごしております。

なんて奥ゆかしい表現を自宅のテレビで見ていると・・・

 

ダイビング業界は、世間とは正反対にひと段落ですね。

秋のベストシーズンが終わり毎日お客さんがいた状態から、少しゆったりした空気が流れて来たのではないでしょうか?

 

さて、そんな12月は年末調整の時期でもあります。

弊社は合同会社という法人形態を取っているため、細谷も僕も会社から報酬をもらっている形になり、全員分の年末調整をしなくてはいけません。

 

「年末調整なんてサラリーマンのものでしょ!」

個人事業主には関係ないなんて思っている方いたら大間違い!

 

もし、1人でも従業員を雇っていたら、個人だろうと法人だろうと必ず年末調整しなければなりません。

元サラリーマンの方ならお馴染みですが、年末調整には必要書類も多いです。

もちろん従業員の方がその書類を紛失しているなんてことだって十分ありえます。

手遅れになる前に早めに本記事ともに早めに年末調整の事務を進めていきましょう!!

 


年末調整とは

年末調整とは

「毎月概算で払っている源泉所得税を、各従業員の実情に合わせて1年の終わりに計算しなおしましょう」

といった制度です。

 

会社は毎月、従業員の給料から源泉所得税を差し引いて給料を支払います。

その計算方法は細かいものではなく、大雑把に国の定める源泉徴収税額表から当てはまる月給を探し、毎月の税額を計算します。

 

ちなみに以下の国税庁のページから29年度の源泉徴収税額票がダウンロードできます。


https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2016/data/01-07.pdf
※PDFファイルが開きます

 

しかし実際には、個人ごとに扶養している家族の人数が異なっていたり、生命保険や年金制度に加入していたりと、同額の給与でも生活のスタイルは様々です。

もちろん月によって給与が変動することもあるでしょう。

 

その細かい調整を個々人が確定申告でやるのではなく、会社がまとめてやってあげようという制度になります。

 

年末調整の対象になる期間は1月1日から12月31日までです。

ここで注意が必要なのは、未払いでも給与の支払いが確定していれば含まれます。

逆に給与を支払っていても、その給与が前年に確定したものだと含まれません。

月末締め翌月払いの給与形態には注意が必要です。

 

さて、ここまで話すと大抵の従業員の方がまた税金を持ってかれるのかとがっくりされます。

 

しかし、概算で毎月引かれている源泉所得税は少し多めに計算されています。

そのため年末調整することによって、払い過ぎた税金が返ってくることが多いのです!!

※正式には12月の源泉所得税と相殺されるので12月だけ少し手取りが増えるといったイメージです。

 


年末調整の準備 従業員から必要書類をもらう

年末調整は大雑把な計算から従業員個人の実情に合わせていくため多くの書類を従業員に準備してもらう必要があります。

すべてが必要はありませんが該当するものをチェックしましょう!

基本的には赤字のものさえあれば大丈夫かと思います。

 

どれも早めに準備しておきましょう!

必要書類は以下の通り。

 

  • 国民健康保険、国民年金保険料の払込証明
  • 共済等制度の掛け金(小規模企業共済など)
  • 生命保険料控除証明書
  • 中途入社の場合は以前の職場の源泉徴収票
  • 地震保険料控除証明書
  • 住宅借入金等特別控除の明細書

 

それぞれ細かく見ていきます。

 

〇国民健康保険、国民年金保険料の払込証明

法人の従業員は厚生年金に加入しており、法人が払っているので必要ありませんが、個人事業主の従業員の場合、自分で年金等を払っているため必要になります。

写真は僕、茂野が仕事を辞めて入社までの間の国民年金保険料

 

〇共済等制度の掛け金(小規模企業共済など)

以前弊社ブログでも紹介させて頂いた小規模企業共済制度。

もちろん所得税から控除されます。

まだ活用している方は少ないと思いますが加入者は必須書類です。

小規模企業共済とは(ダイビング業界に退職金を!)

 

〇生命保険料控除証明書

実は生命保険も控除になるんです。

一般の生命保険だと最大4万円の控除を受けることができます。

4万円の控除なんて小さいと思うかもしれませんが、所得・住民税合わせると最低でも約6000円の節税効果が!


石橋を叩き割る程の心配性な僕の生命保険払込証明書

 

〇中途入社の場合は以前の職場の源泉徴収票

年の途中入社の方は、前職場との給料を合算する必要があるため源泉徴収表が必要になります。

失くしてしまうと再発行を依頼したりと気まずい思いをするので注意してくださいね!


僕が会社を辞めたときにもらったもの

 

以下2つは、ほとんど該当しないと思うので割愛します。

〇地震保険料控除証明書
 →地震保険も控除になります。

〇住宅借入金等特別控除の明細書
 →住宅ローンを組んでいる従業員には大きな控除

 


 

年末調整の手順 流れを知ろう

ここからは、実際に年末調整のスケジュール感を紹介していきます!

年末調整は1回で終わるわけではなく、何個かの作業を要します。

そのため基本的な流れを把握し、余裕をもって1つ1つクリアしていくことが良いかと思います。

 

また、申告に必要な書類を入手する必要があります。

弊社は税務署から送られてきますが、初めて雇った方は税務署に取りに行く必要があります。

もちろん、国税庁のHPから入手することも可能ですので可能な限りURLを乗っけていきます。

 

①12月上旬 従業員に書類の記入してもらう

まずは年末調整をするために必要な従業員の情報を書いてもらいましょう。

以下の3つがその主なものになります!

 

〇給与所得者の扶養控除申告書

すべて従業員対象の書類になります。扶養親族の有無や人数について申告する書類になります。扶養がなくても申告してもらう必要があります。

ダウンロートは画像をクリック
※PDFファイルが開きます

 

〇給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書

生命保険料に加入している方や配偶者の年収が103万~141万円の間の方が対象の書類です。

この申告書を提出することで最大4万円の生命保険料控除や、配偶者特別控除(扶養親族から外れた後の控除)を受けることが出来ます。

該当可能性のある従業員には必ず記入してもらいましょう。

ダウンロードは画像をクリック
※PDFファイルが開きます

 

〇給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書

住宅ローンを借りている従業員が対象の書類です。

ダイビング業界の従業員の方で借りている方は少ないとは思いますが、控除ではなく減税になる得な書類です。

1年目はご自身で確定してもらうことが必須ですが、2年目以降は年末調整で取り扱うことが出来ます。

 

ダウンロードは以下のページから
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2013/pdf/96.pdf
※PDFファイルが開きます

 

②12月下旬 書類をもとに年末調整をする

1年の最後の給料を支払う日までに所得税の年税額を計算します。

計算が終わったら最後の給与に反映させます。

年税額が今まで差し引いた源泉所得税よりも多ければ差額を徴収し、少なければ還付をします。

 

ここで還付されることの方が多いので、従業員の方は毎月の給与額が同じでも、手取り額が増えるわけですね。

 

③翌年1月10日所得税を納付

従業員から預かっている税金を1月10日までに納付を行います。

必ず所定の納付書が必要です。


給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書

 

この書類は税務署のHPからダウンロードすることが出来ないので注意が必要です。

必ず事前に準備する必要があります。

 

もしなければ、管轄の税務署に郵送を頼むか、取りに行きましょう。

金融機関にも納付書は置いてあることもありますが、準備してない場合もあります。事前に問い合わせてからの方が良いでしょう。

 

納付自体は税務署、郵便局、銀行、信用金庫などどこでも行うことが出来ます。

ただし、コンビニでは税務署に特別依頼した納付書でしか出来ないので注意してください。(バーコード付)

 

④翌1月31日 各種書類を提出

ここでは従業員に源泉徴収票を渡し、管轄の税務署には法定調書合計表を市区町村へは給与支払報告書の提出が必要になります。

それぞれ細かく見ていきましょう。

 

〇源泉徴収票を従業員に交付

源泉徴収票はWEBデータでの提供もOKになっているので従業員にPDFファイルを渡すことでも可能ですが、きちんと作成する場合は4枚作って置くと便利です。

1枚は従業員に手渡す用。

2枚は市区町村へ提出する給与支払報告書の個人明細の代わりに。

最後の1枚は法定調書に添付します。

 

〇源泉徴収票等の法定調書合計表を管轄税務署に提出


画像をクリックでダウンロードできます。
※PDFファイルが開きます

 

ここでは、きちんと所得税を納めていることを証明するために税務署に申告します。

合計表の6表から当てはまっているものを申告していきます。

給料や退職所得、税理士への報酬等がここでは出てきます。

 

〇給与支払い報告書を各市区町村に提出

給与支払報告書は住民税の計算のために使われる書類です。

そのため従業員の住んでいる市区町村への提出が義務付けられています。

 

バイトも含めて給料を支払った全員のいる市区町村に送らなければいけません。

弊社でいうと、細谷の在住する世田谷区、僕、茂野は横浜市役所、他にバイトの学生の分も合わせると合計5か所に送っています。

また各市町村のページから用紙をダウンロードする必要もあります。

 


 

まとめ

今回は年末調整の基本的な事務の流れを確認しました。

意外とやることが多く、慣れてないと非常に大変です。

 

この記事を目次のように使ってもらえれば、すべての年末調整がわかるように作っていきます!

 

 

ただし、記事に関しては弊社で行っている事務の一例をご紹介しているだけでありプロの監修の元ではありません。

また法律上、個別の税務相談をお受けすることも出来ません。

出来ることは少ないのですが、弊社の事務のやり方を公開することで海で働く誰かの力になれればと思ったものです。

記事の公開を待てない方には特別に先に公開なんかもしておりますのでご連絡下さい!!

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