個人事業主も源泉徴収は必要!【従業員を雇う】

 

前回は年末調整のお話をしました。

個人事業主だって人を雇ったら大変!【年末調整】

 

その際に従業員を雇ったら年末調整が必要ということを書きましたが・・・

そもそも源泉徴収とはなにかといった説明をしていませんでした。

 

そこで今回は所得税の源泉徴収について徹底解説していきます!

本記事と年末調整の記事を合わせて読んでいただければ、従業員の所得税に関する事務はすべて網羅されるでしょう!

 


 

そもそも源泉徴収とは?

 

源泉徴収とは個人の代わりに、給与や報酬などの支払いを行う者が関係する税金を納税する制度のことです。

ここで大事なのが給与の支払いを行う者となっていることです!

 

どこにも法人とは書いていないのです。

つまり個人事業主であろうと誰かに給与等を支払えば源泉徴収をする必要があるのです。

 

個人事業主は毎年1月1日~12月31日までの儲けを自身で確定申告することによって所得税を納付しています。

そのため源泉所得税には馴染みは少ないですが、給与所得者つまり、サラリーマンは毎月の給与から所得税が天引きされるのです。

 

もちろん、皆さんの従業員も給与所得者になるので毎月の源泉徴収、そして納付は必要になります。

 


毎月の源泉所得税の計算の仕方

 

源泉所得税の計算はいたって簡単です。

その月の給与額から社会保険料等の控除を行い、さらに扶養親族等を考慮して源泉徴収税額表に当てはめると計算できます。

国税庁のHPから29年度の源泉徴収税額票がダウンロードできます。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2016/data/01-07.pdf
※PDFファイルが開きます。

 

 

例:潜水 太郎(22歳)

給料 200,000円
通勤費 8000円
社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険) 21000円
扶養親族なし(独身・子供なし)

 

社会保険料等を控除した月給の計算

月給を計算する際、通勤費に関しては一定までは非課税になりますので考慮しません。

つまり以下のようになります。

 

【控除後の月給】=【月給】ー【社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)】

 

これを潜水太郎君の例で当てはめると…

給料200,000円-社保21000円=179,000円

になるわけですね!

ここまで計算したら後は月額表の縦軸で該当する金額を見つけていきます!

 

そうすると写真のように179,000円~181,000円という枠が当てはまりますね。

 

「甲欄」と「乙欄」の使い分け

さて潜水太郎君の例で見ていくと179,000円の横軸を見ていくと税額が出ています。

甲欄に扶養人数0人だと4,050円、乙欄まで行ってしまうと13,900円まで増えてしまいますね。

この甲欄と乙欄どちらになるかで源泉徴収税額が全然違いますね。

 

これは国税庁によると

  • 主たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の「甲欄」で求めます。
  • 従たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の「乙欄」で求めます。

簡単に言うと…

1社にしか務めていない従業員は「甲欄」になります。

「給与所得者の扶養控除等申告書」の有無で判断します。

1社しか務めていない従業員は入社時にその会社に提出しているので「甲欄」になります。

 

逆に「乙欄」で計算する人は本業は別にあり、副業の人になります。

アルバイトや非常勤インストラクターなどが当てはまるかもしれないですね。

「給与所得者の扶養控除等申告書」は本業の会社に提出しているはずです。その場合は「乙欄」で計算します。

 

ちなみに・・・

明らかに乙欄の源泉所得税は本来の税額より高いですよね。

これは各個人に確定申告で取り戻してもらうしかありません。

詳しい取返し方はまたご紹介させて頂きます。

 

潜水太郎君の毎月の源泉徴収額は?

もうわかりますね。潜水太郎君は正規の従業員で独身です。

つまり「甲欄」の扶養親族0人、4,050円ですね。

この4050円は源泉所得税として太郎君の給与から天引きしなければならないのです。

 

そしてオーナーや法人は給料を支払った翌月10日までに

従業員から預かった源泉所得税を納付する必要があるのです。

 

ただし、常時の従業員が10人未満の場合、納期の特例と言って納付を半年に1度にすることが出来ます。

毎月、金融機関に納付しに行くなんて大変ですもんね。

 


納付書の書き方

それでは納付書の書き方を見ていきましょう!

納期の特例の有無で納付書が変わってくるので注意して下さい。

 

今回は納期の特例を受けている方の納付書の書き方を見ていきます。

毎月払っている方は納期の区分のところが1月分になるだけで非常に簡単なので参考にしてください。

 

また潜水太郎君を例に見ていきます。

潜水太郎
個人事業主のオーナーに雇われる従業員
月給20万円
源泉所得税4050円(上で計算)

 

期間の部分は1月~6月までの6か月間なので、給与額や税額も6か月分計算します。

その他のところで注意点が3つあるので見てみましょう。

 

  1. 税務署番号や整理番号は管轄税務署に問い合わせる。
    →税務署から送られてきた納付書には記入されていることが多いですが、自分で入手したもの等には記入がないので問い合わせる必要があります。
  2. 給料を最初に支給した日と最後に支給した日を記入
    →俸給・給料等の期間はその期間の初めに給料を支給した日付と最後に給料を支給した日を書きます。
    太郎君は給料日が25日という前提で書きました。
  3. 延べ人数を書きます。
    →ここが一番間違えやすいので注意が必要!
    延べ人数になるの従業員は太郎君1人ですが、1人×6か月で延べ人数は6人になります。
    例えば5月6月だけバイトを1人雇ったとなるとバイト1人×2か月と太郎君を足して8人になります。

 

また、税理士報酬や日雇いのスタッフや太郎君にボーナスを上げた場合なんかは下段に記入していけば良いだけですね。

 


 

さて源泉徴収の事務の流れはなんとなく、わかってもらえたでしょうか??

 

弊社でも年に数回しかない源泉徴収の事務等は忘れてしまいます。

毎回、調べて行っていると大変な時間がかかってしまいます。

そこで事務マニュアルのようなものを作っていますが、そんなマニュアルを作る際の一助になればと思います!!

 

弊社の年末調整事務も紹介してます。

良かったら合わせてどうぞ!!

個人事業主だって人を雇ったら大変!【年末調整】

 

記事に関しては弊社で行っている事務の一例をご紹介しているだけでありプロの監修の元ではありません。

また法律上、個別の税務相談をお受けすることも出来ません。

出来ることは少ないのですが、弊社の事務のやり方を公開することで海で働く誰かの力になれればと思ったものです。

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