NPO法人日本安全潜水教育協会、通称JCUE(ジェイキュー)の主催するアンダーウォーターインタープリター養成講座に1泊2日で、茂野と共に参加して来ました。
誤解を避けるために補足すると、厳密には別途座学2日+実習1泊2日です。
今回は、日本インタープリテーション協会の会長で、JCUEの副会長でもある古瀬氏のもと、実習を行って頂きました。
※画像はJCUE facebookページよりお借りしました。
聞きなれない言葉かと思うので、まずはインタープリターについて。
インタープリテーションとは
インタープリテーションを行う人のことをインタープリターと呼ぶわけですが、ではインタープリテーションとは。
直訳すると”解釈”や”通訳”といった意味です。
転じて、自然を相手にする時には、日本インタープリテーション協会によると
自然公園やミュージアム、その他社会教育の現場で行われる、体験や地域性を重視した、楽しくて意義のある教育的なコミュニケーションのこと。
と説明されています。
また、同じく日本インタープリテーション協会で紹介されている先人たちの言葉は
単なる情報の提供でなく直接体験や教材を通し、事物や事象の背後にある意味や関係を明らかにすることを目的とした教育活動
自然科学などの専門的な事柄を、専門外の人たちが理解できるように分かりやすく翻訳して伝えることが含まれているが、同時にそれらを、人々が楽しみ、興味を持てるような方法で行うということも含んでいる。
とされています。
養成講座での講義も含めて、細谷なりの解釈として、インタープリターの役割は3つ。
- 知らない事に気づいてもらう
- モノとコトを繋ぐ手助けをする
- 一緒に考える
こんな感じかなと理解しています。
もっと平たく言えば
ゲストの気づきを最優先にするガイド
かもしれません。
ガイドとの違いとは?
話をダイビングに限定してみると、ダイビングガイドは既にインタープリテーションを行っているとも言えると思います。
知らず知らずのうちに身に付けているということでしょう。
一方で、インタープリテーションとは言えない、ただのガイドになってしまっているケースもあると思います。
インタープリタープリテーションとガイドの違いを少し考えてみました。
インタープリテーションの流れは以下の通り。
疑問を持つ
↓
想像する
↓
観察する
↓
発見する
↓
新たな疑問を持つ
ゲストがこの一連の無限ループに入ることが出来る様、各ステップで想像を促したり、観察のポイントを教えてあげたりします。
あくまで知識を与えるのではなく、知識を求められた時でも極力ヒントに留める、という姿勢が重要です。
自然相手なので、時にはハッキリしない事象について一緒に考えることもあるでしょう。
自分のこれまでのガイドを振り返ってみると、こんな感じになってしまっていることもありました。
教える
↓
見る
↓
感心する
ほら!ここに●●がいるよ!
こいつにはこんな豆知識があるんだよ!
(ゲスト)へぇ~~
みたいな感じですね。
教えてもらったことと自分で気づいたこと、後者の方が深く考え、新たな発見も多いはずなんですよね。
そういえば、ガイド中に使う豆知識って、自分で気づいたものがほとんどだった様な…
つまり、インタープリテーションは、自分で潜っている時の脳内をゲストにも再現してあげる、ということなのかもしれません。
そのためには、与える情報の取捨選択、情報を与えるタイミングが重要であると共に、ログ付けだけになりがちなデブリーフィングを1本1本行うことの重要性を感じました。
インタープリテーションは万能か?
インタープリテーションすげー!
これからはインタープリテーションだ!
と短絡的には思っていません。
ゲストのレベルに合わせて、時には”ガイド”の方が適している場面もあるのだと思います。
相手だけでなく、1本のダイビング中でも”ガイド”と”インタープリテーション”の両方が登場するのかなと。
また、チームのコントロールには”ガイド”の方が適しているとも思います。
しかし、様々な方にダイビングを本質的に楽しんでもらうためには必須になる技術だと感じました。
これまでも、知らず知らずにインタープリテーションを行っていたガイドの方も居たことでしょう。
そんなガイドに巡り合ったダイバーはラッキーです。
また、インタープリター無しに自分でどんどん新たな発見をする、好奇心旺盛かつ感受性豊かなダイバーの方もいるでしょう。
つまり、これまでのダイビングは、数少ないインタープリターに巡り合ったダイバーと、そもそもダイバーになる素質があったダイバーだけがコアダイバーになっていたのでは無いでしょうか。
アンダーウォーターインタープリターの存在が広まることで、これまでよりも高確率でコアダイバーになってもらうことが出来るのでは無いかと考えています。
そのためにも、第1号メンバーの1人として、存在を広め、実践して行きたいと思います!