別の分野の本を探して本屋に立ち寄った際、どうしても気になり立ち読みをしたところ、どうしても欲しくなったので買ってしまいました。
ここ最近で出会った本の中でも群を抜く面白さ。
その面白さの根源は、今まで何となく感じていたことが明文化されているところにあるので、若干贔屓目に見えてしまっていますが、話をダイビングに置き換えて考えてみたいと思います。
全体概要
この一冊を通じて幾度と無く指摘されているのは”行動”こそが真実だと言うこと。
『欲しい』という意識や合理的な判断は、『物を買う』という行動に置いてはあまり重要な要素では無いことが指摘されています。
つまり
ダイビングやってみたい!
というノンダイバーの発言や
ゴルフもスノボもかかるお金は変わらない
というアピールも、ダイビングをしてもらうためにはあまり重要では無い、ということです。
ダイビングも含め、あらゆるモノもコトも洗練された現代では、ほとんど全ての商品(サービス)の完成度が高く
欲しい(やってみたい)ですか?
と聞けば、欲しい!(やりたい!)と返ってくるのはあたりまえのことと思います。
少なくとも誰だって、自分のガイドやインストラクションには自信を持って提供していますよね。
ダイビングが属する市場とは?
ダイビングが属する市場はどこでしょうか?
趣味市場?レジャー市場?海市場?
この本ではその全てを否定しています。
モノ発想の市場区分ではなく、行動発想の市場区分を推奨しています。
例えば
目覚まし時計とコーヒーは同一市場の競合商品とみなせる
という考え方です。
これは、どちらも快適な目覚めという行動を得るための商品だと考えられるためです。
もちろん、コーヒーという商品で見れば、快適な目覚め市場だけでなく、休憩市場、サボり市場、暇つぶし市場、など様々な行動市場に属します。
さて、ではダイビングはどんな行動市場に属するのでしょうか?
もちろんこれが正解だとは思いませんが、少しだけ候補を考えてみます。
- 自慢市場
競合:ブランドバッグ、バイクなど - 現実逃避市場
競合:ジグソーパズル、クラブなど - 探検市場
競合:散歩、ラーメン屋巡りなど - 休日のリフレッシュ市場
競合:寝具、テレビ番組など
こんなところでしょうか。
例えばダイビングを現実逃避市場と考えてみましょう。
競合に打ち勝つことも大事ですが、そもそも現実逃避行動を喚起するところからのスタートになりそうですね。
だとすれば
上司のイヤミに耳を塞ぎたい?水中は無音の世界です!
といった様なキャッチコピーが考えられるかもしれません。
今挙げてみた4つの市場では、誰しもの欲求として存在する『自慢市場』や、誰でも年に数十日は訪れる『休日のリフレッシュ市場』が、行動量の総和が多いため、魅力的な市場と言えそうです。
いっそストレートに
ダイビングライセンスを自慢するまであと3日!
なんてライセンス講習を打ち出しても良いかもしれませんね。
その他、頭に残った考え方
この本に書かれていることを全てダイビングに置き換えて書こうと思うと、そんなことはすぐに出来るはずもなく、仮に出来ても1年近くかかってしまいそうなので、この本の中で頭の片隅に残しておくべきと感じた考え方をいくつかご紹介します。
エネルギーコスト
人はコスト感で動く。
中でも、お金よりも『面倒』『現状打開』といったエネルギーが必要なことは高コストと感じる。
また、『選択の自由』などの頭脳コストも重要で、人はできるだけ『考えない』様にする。
近い考え方でリスクも重要で、『化粧が落ちるのでは』『日焼けを上司に指摘される』といった点も心理的リスクになりそう。
レーンチェンジ、フレーム
ハイボールのヒットは、誰もが馴染んだ
ジョッキで生を飲みながら何かを食べる
という行動を売りだしたこと。
自分の馴染みのもの、隣のレーンに置き換えてみる、また、固定概念(フレーム)を有効に活用することも効果的。
全てを動詞で考える
<悪い例>
ターゲット:30代・女性・未婚・年収300万円程度
ウリ:1人1人に合わせたクオリティーを確保しつつリーズナブルな講習
<良い例>
ターゲット:インスタグラムに2日に1回以上投稿する人
ウリ:講習終わりの輝いた目を最大限に引き出した写真を撮れる
※正しいかはさておき…
最後につらつらと
考えてみると、前職で仕込んでもらった
事実至上主義
ターゲット-オケージョン-ウォンツ=ベネフィト-アトリビュート-プロダクト(BMR)
この辺りを指摘してくれている様な気がします。
また、先日DIVE BIZ SHOWにてとあるダイビングスポットのサービス様が
大阪から信号12個
というキャッチコピーを掲げていたのにいたく感銘を受けたのも、この本にある行動思考だからだと気付きました。